PROJECT STORY
FMV LOOX 開発ストーリー
社内の叡智と情熱を結集し
タブレットに革新をもたらす
FMV LOOX
2022年春、FCCLから発表された「FMV LOOX」。
これは富士通製パソコン40周年の記念モデルとして、FCCLの技術力を結集して誕生した革新的な2in1タブレットPCです。
世の中で大きな注目を集めるこの新製品の企画開発に携わった主要メンバーが、
開発プロジェクトを振り返ります。
DISCUSSION MEMBER
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01
企画
松本 景子KEIKO MATSUMOTO
マーケティング本部 商品企画統括部
2019年入社国内総合電機メーカー2社での営業経験を経て富士通に入社後、スマートフォンのキャリア営業、新規事業の立ち上げに携わり、2019年にFCCLに転職。このプロジェクトには商品企画のリーダとして参画し、市場のリサーチからコンセプトの立案など企画フェーズを担当。
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02
設計
鈴木 健二KENJI SUZUKI
プロダクトマネジメント本部 第一PM統括部 第三技術部
2006年入社機械系のエンジニアとしてキャリアを積み、以前はパソコンの構造設計などに従事。このプロジェクトではメカ設計全般をリードし、世界最薄・最軽量のタブレットの実現に大いに貢献した。
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03
ハード開発
山田 裕道HIROMICHI YAMADA
プロダクトマネジメント本部 PM統括部 第一技術部
2009年入社専門はハードウェア設計。パソコンやタブレットの回路設計を長らく手がけて製品全体を理解し、このプロジェクトでは仕様を取りまとめて開発をマネジメントしていくリーダを担当。
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04
ソフト開発
下川 創HAJIME SHIMOKAWA
コンシューマー事業部 第三技術部
2011年入社富士通に入社後、施設管理業務に従事しつつ社内ツールなどの作成に取り組む。コンシューマー向け製品を手がけたいと社内公募でFCCLに転籍し、このプロジェクトではタブレットに搭載するソフトウェア開発を担当。
#01Episode世の中でヒーローとなる、
そんな製品を
FMV LOOXが目指したのはどのようなものだったのでしょうか?
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松本
今回のFMV LOOXの企画開発は、FCCLにとっても大きなチャレンジでした。いままでにないまったく新しいタブレットを作るというビジョンのもとで、このプロジェクトがスタートしました。そして『世の中でヒーローになるようなコンピュータを作ろう』というスローガンが社内で掲げられ、この新製品に“HERO PC”という愛称をつけて企画開発が進められました。

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鈴木
タブレット市場にはすでにメジャーなブランドの競合品が存在していましたが、それらを凌ぐ製品を作ろうと、私たち開発陣も技術者魂をかきたてられました。「FMV LOOX」シリーズは、超小型モバイルPCをコンセプトに、2000年に初代機を発売してから今作で21代目になりますが、「FMV LOOX」ブランドにとっても革新的な挑戦になったと思います。
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山田
私はこのプロジェクトの立ち上げを知って自ら参加を志願したのですが、チャンスを与えてもらった時はとても興奮しました。技術者の意欲を尊重してくれるのもFCCLの魅力だと思います。
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松本
商品企画担当として、マーケットやユーザデータを分析し、生活の変化や先のトレンドを読むことでお客様への新たな価値を創り出していく、川上の業務の役割を担いました。新しい生活スタイルが浸透した日常で、場所を選ばず、仕事も勉強も、オンからオフまで楽しんでいただきたい。さらに誰もが自由に発信できる環境において、想像力を高め、クリエイションにつなげていただきたい。「FMV LOOX」ではこの二つのテーマをお客様に体験いただきたい、という想いで機能やデザインを追求しました。
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下川
私が開発に携わった“クリエイティブコネクト”は、まさにFMV LOOXならではの機能です。挑戦しがいがあったものの、一筋縄ではいかず苦労の連続でした。
#02Episode世界一になるために、
妥協を許さずこだわり抜く
困難だったポイントはどのようなことでしたか?
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鈴木
FCCLは世界最軽量のノートパソコンを実現していますが、このタブレットでも薄さと軽さで世界一を目指そうと。しかし、言うは易しで、実際の開発は困難を極めました。
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山田
私は仕様を取りまとめる立場でしたが、社内の検討会に諮るたびに『もっと価値を出せないか』と何度も企画が差し戻されて、当時は本当に大変でした。どうすればブレイクスルーできるのか、鈴木さんとも毎日のように熱い議論を重ねました。

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鈴木
デザイン性、機能性、画質、カメラ、キーボードに至るまで、テレワーク化にともなう現代において、ユーザが真に求めているものは何なのかについて徹底的に追及し、世界最薄、最軽量2in1タブレットPCにたどり着きました。
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松本
製品づくりに妥協せず、理想の形に向けてこだわり抜くのはFCCLらしいところですね。
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鈴木
極限の薄さと軽さを求めて、材料や構造を徹底的に見直しました。1グラムでも軽くできないかと、いろいろな角度からアイデアを出し、回路基板からバッテリに至るまで何度も検証を繰り返し、外部のサプライヤとも交渉して最適な部品を調達しました。それは気の遠くなるような作業でした。
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下川
今回のFMV LOOXのコア機能のひとつとなる“クリエイティブコネクト”も難航しました。“クリエイティブコネクト”は、昨今のテレワーク化を想定した、自宅や勤務先などあらゆる場所で利用できるようにした機能です。USB Type-Cケーブルひとつでパソコンと連携でき、接続先のマウスやキーボードを使ってFMV LOOXを操作できたり、あるいはセカンドディスプレイとして使用することが可能です。さらにタブレットに手書きしたものを、パソコン上に表現してオンラインで共有したり、FMV LOOXにデータを保存して持ち歩くことができたりという機能も追加しました。前例のない開発であり、試行錯誤の連続でした。
#03Episode確かな答えがないからこそ、
面白い
どのように問題を克服していったのでしょうか?
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鈴木
確かに、いま振り返ると本当に難しい開発でした。でも、私たちは技術力には自信を持っています。海外の有力なIT企業にもけっして引けをとらないと自負しています。私は負けず嫌いなところがあって、当時は『競合よりも絶対に優れた製品を作ってみせる』という思いで日々開発に臨んでいましたし、また、私と同じように熱い志をもった技術者がFCCLには集まっている。そうしたメンバー全員の知恵を結集することで、問題をクリアできたと思っています。

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山田
このFMV LOOXのプロジェクトは、すべてが前例のないチャレンジでした。確かな答えがない中での開発で苦労も多かったのですが、逆に自分がその解を見つけ出していくことにやりがいを感じて、それがモチベーションになっていました。
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下川
まさにそうですね。私はこの“クリエイティブコネクト”のソフト開発の指揮を任されたのですが、FCCLは現場の技術者に裁量を持たせてくれるので、自分で答えを見つけていくことができますし、こうした最先端の技術に携われることは、とてもエキサイティングな経験でした。
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松本
こうしたみなさんの奮闘があったからこそ、薄さ7.2mm、重さ599gと世界最薄で最軽量を実現することができたのですね。商品企画担当としても誇らしい気持ちです。
#04Episode自分の仕事で、世界が驚く
興奮と感動を体験できる
喜びを感じた瞬間はどのようなときでしたか?
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鈴木
苦労に苦労を重ねて世界最薄・最軽量を実現する設計を完成させ、量産試作の段階に入り、第一号機が上がってきた時はやはり感慨深かったですね。画期的な製品を目の当たりにして、思わず胸が熱くなりました。FCCLは国内に工場を構え、生産まで一貫して手がけているので、きちんと製品になるところまで見届けることができるのは、FCCLでモノづくりに携わる醍醐味です。

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下川
このFMV LOOXは、国際的なテクノロジーの見本市であるCESでも高く評価され、アワードを受賞しました。私はそのプレゼンテーションに関わったのですが、自分が世界に向けて情報を発信し、それが注目と賞賛を集めたときはとても感動的でした。
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山田
それはまさにエンジニア冥利に尽きますね。こうした経験がFCCLなら幾度となく味わえる。私もこのFMV LOOXが完成した時は、言葉にならないほど大きな達成感がありました。
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松本
このFMV LOOXは、これまでのタブレットの枠を超えた価値をユーザのみなさんにもたらしていきます。まさに、FCCLが掲げている“クライアントコンピューティング”を体現するプロダクトだと思いますし、今後もこうした新製品を次々と世の中に送り出していきたいです。
※内容はインタビュー当時のものです。